なあ、成瀬あかりには直木賞をあげないつもりなのか。 と、全国に100万人はいると思われるファンの気持ちを代弁するつもりで書いてみた。
旧満州から引き揚げてきた「根無し草(デラシネ)」の孤独な少年は、ラジオで落語や浪曲を聞き、耳からの知識を喜んだ。週刊誌記者を経て、作家・井上ひさしの劇団の雑誌「the座」編集長になる。歌舞伎やお座敷芸にも詳しいライターとして玉介師匠の話をまとめ、聞き ...
英文学者の小川公代さんが、『ゆっくり歩く』(医学書院)で7年間に渡る「ケアの実践」を綴っています。パーキンソン病を患う母の介護を通じて、研究者としての視点と、娘としての感情が交錯するケアの現実。介護における葛藤や発見、物語を共有する意 ...
明治維新以降の同化政策のもと、アイヌの人々は日本語の使用を強いられた。この本が「近代編」から一貫して描き出すのは、もともとは母語ではなかった言葉で記された文学の歴史なのだ。
このような活動を通し、新型コロナウイルス研究に携わる世界中の「専門家」たちに認知されるようになった私は、2024年11月に淡路島で、「次のパンデミックへの備え――コロナウイルスの進化・病原性・ウイルス学(Preparing for the Next ...
方舟(夕木春央、講談社文庫) 関ケ原仁義〈下〉―三河雑兵心得〈17〉(井原忠政、双葉文庫) 黄色い家〈上〉(川上未映子、中公文庫) 人間標本(湊かなえ、角川文庫) 新しい花が咲く - ぼんぼん彩句(宮部みゆき、新潮文庫) ...
戦後80年、すでに明治維新から1945年の敗戦までの期間を超える時間が過ぎた。戦後史は「今」と深く結びついているが、あまりに長く、世代による体験の差と断絶も大きくなった。地域や個人という視点から戦後社会に取り組んできた歴史家による(1)は、人びとの試 ...
「アメリカ」は壊れつつあるように思う。それも、内側から蝕(むしば)まれ崩れつつあるように感じる。誇らしげに掲げてきたはずの「リベラルなアメリカ」という自画像が、内外のリアルな状況と極度に乖離(かいり)してしまっているのだ。
1983年に単行本として刊行された外山滋比古著『思考の整理学』(筑摩書房刊)が、文庫化・新版化を経て、2025年10月、累計発行部数300万部を突破しました。また、東大、京大、早稲田大、慶應義塾大をはじめ全国44の大学生協で文庫累計 ...
考察する若者たち(三宅香帆、PHP研究所) 太平洋戦争と銀行(小野圭司、講談社) 「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか(三宅香帆、新潮社) 日本史を地学から読みなおす(鎌田浩毅、講談社) 知性の復権(先崎彰容、新潮社) ...
そもそも、父親による拘束や虐待から逃れるため、という動機からして痛ましい。出奔後、ハックは逃亡奴隷のジムと合流し、二人は共に筏(いかだ)でミシシッピ河を下っていくのだが、行く先々でこれでもか、と災難に見舞われる。難破船へ立ち入れば極悪な強盗団とニアミスするわ、カヌーに乗れば急流に流されるわ、陸へ上がれば不倶戴天(ふぐたいてん)の敵である家同士の殺し合いを目撃するわ、えげつないペテン師に利用されるわ ...
今年度の歴程賞(詩誌「歴程」主催)の授賞式が11月15日、東京・市ケ谷で開かれた。第63回の受賞者は詩集「伎須美野(きすみの)」の時里二郎さん=写真右=と、評伝「草野心平」の近藤洋太さん=同左。それぞれが追い求める詩情について語った。